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特集:「褒め合い」が会社を変える

 厳しく指導して若手社員を育てる……という時代ではない。しかし、どのように部下と接したらいいか分からないという人も多いだろう。日本企業では、まだまだ「称賛」が浸透していないのが現状だ。

 「褒める」コミュニケーションをどのように実践すればいいのだろうか。難しく考える必要はない。「褒め合い」を上手に取り入れている企業の事例や専門家の話から、いま実践できる職場改革を考える。

 社内でお互いに「褒め合う」仕掛けとして、注目度が上昇している仕組みがある。従業員同士で感謝や称賛の気持ちを込めて成果給(インセンティブ)を贈り合う「ピアボーナス」だ。

 もともとは海外から入ってきた考え方だが、2017年に日本の企業がピアボーナスのシステム「Unipos(ユニポス)」を商品化したところ、さまざまな業種や規模の企業で導入が増えている。フリマアプリ運営で急成長しているメルカリなど、導入企業はすでに100社以上にのぼる。

 「インセンティブなんて、海外の企業文化だろう」「合理的で日本の会社に合わないのでは?」と思う人も多いかもしれない。ところが、Uniposを開発したFringe81の田中弦社長は「日本の企業とビジネスパーソンが抱える問題に向き合って開発した」と話す。どのような仕組みなのだろうか。

photoピアボーナスサービス「Unipos」では、感謝や称賛のメッセージとともに成果給を贈り合う1日800通のメッセージ

 「『メルチップ送った?』と気軽に言い合うことも多く、日常に溶け込んでいます」

 そう話すのは、メルカリで総務などを担当する部署、カルチャーアンドコミュニケーションでマネージャーを務める山下真智子さんだ。メルカリがUniposを導入したのは17年9月。「mertip(メルチップ)」というオリジナルの愛称で、ピアボーナス制度を運用している。

 今では、メルチップで1日平均800通ほどのメッセージがやりとりされている。計算上は、国内拠点の社員全員が毎日1回以上メルチップを送っていることになる。また、これまでに社員の99%が1回はメルチップを受け取っているという。

 「仙台や福岡の拠点で働く社員にも、リアルタイムで感謝を伝えられるようになりました。顔を合わせなくても、つながりを感じています。成果給を贈る制度ではありますが、お金というよりは、メッセージの内容に価値を感じている社員が多いようです」(山下さん)

 「成果給」というと大げさなイメージがあるが、メルカリの社員は身構えることなく、日常的にピアボーナスを贈り合っているようだ。なぜそれができるかというと、Uniposの仕組みが至ってシンプルだからだ。

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